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本物の素材

アラネックセレクトのラグは、標高が高く気温・湿度変化の激しい山岳地帯に生息する羊のウールを使用しています。厳しい環境条件に対応しながらも、広大な地で農薬を使わない自然の草を食べながらストレスなく生活をする羊からとれるウールには、内側に良質な脂分がたっぷりと含まれています。そのウールを使うことで、陽の光に当てるとシルクのような光沢を魅せたり、見る角度によって濃淡の変化を楽しむことができたり…使い込むほどに美しいラグを生み出すことができます。また、しっかりと脂分が残っているウールであれば水分や汚れを弾くので日頃のお手入れも簡単。復元力もあり、100年以上前のアンティークラグでも味わいのある毛並みのラグも珍しくありません。

そして良質なウールを素材として生かすためには、人の手を使うことがとても重要になります。そのウールを使って手紡ぎ・手織りでラグづくりを始めたのがトルコやイランの遊牧民です。技術が進んだ現代であれば機械に任せることで手早く量産することもできるかもしれませんが、そうしてしまうとウール本来の大切な脂分が失われてしまい最終的な仕上がりは全く別物となってしまいます。

目で見て分かるテクスチャーだけではなく、永く使うことで良さを感じられるのは素材にこだわる本物志向のラグだからこそです。

ラグができるまで

では、ラグは一体どのように作られているのか。その道のりをたどっていきましょう。

まずはウールをコツコツと手で紡ぎ、糸を一本一本作っていきます。ラグを一枚織るための糸を用意するだけでも大変な作業です。丁寧に紡がれた糸は草木などを粉末状にして煮込んだ釜の中に入れられ、じっくりと色を染み込ませていきます。染めの工程を経てようやくラグを織り始めますが、ここからはひたすらに手で糸を結んでいきます。ちなみにラグを制作するときに図面はありません。遊牧民は移動生活の中で目にした風景や家族と共に過ごした時間の中でインスピレーションを得て、頭の中にイメージしたものを頼りに即興で柄や色を決めていくのです。形が出来上がったラグは表裏を焼いて遊び毛を処理し鉄製の鍬を使いながらゴシゴシと洗い、太陽の下で自然乾燥させて縁や毛並みを綺麗に整えてようやく完成します。

遊牧民が生活をより豊かにするために生み出したラグ。今では敷物として浸透していますが、遊牧民は実用的な道具としてラグを使っていました。移動生活でテント暮らしをしていた遊牧民は、硬く冷たい地面にベッドとしてラグを敷いたり布団代わりにしたり、パーテーションのように空間を仕切ったり、食料を入れるための袋として使ったりしていました。生活の知恵から生まれた織物技術は代々受け継がれ、現代を生きる私たちはラグを手にすることができています。

お手入れのし易さ

いざ部屋のコーディネートにラグを取り入れようとしたとき、「汚れたらどうしよう…」「虫がくるかもしれない…」と不安に駆られ踏みとどまってしまわれる方も少なからずいらっしゃるかと思います。アラネックセレクトのラグは健康状態の良い(ウール本来の脂分がきちんと残っている)羊毛を使うことを大前提としていますが、その羊毛を用いて糸を紡ぐ作業からラグを織り上げるまでの一連の工程を人の手で行うことで先に挙げた不安要素が大きく払拭されます。

汚れを蓄積させない

ウールの表面は“ラノリン”という脂分で覆われており、雨風などにさらされる羊たちの毛をダメージから守っています。人間の髪の毛も“キューティクル”によって艶やかで渇きを感じない状態が保たれていますが、同じようにラノリンも失われてしまうと繊維が傷んでしまいます。機械織りの場合は生産の過程で大切なラノリンが除去されてしまうため、そのポテンシャルを発揮させるためには、人の手で糸を紡ぎ・織ることが重要です。きちんとラノリンが残っていれば、脂分によってこぼしたジュースなどの水分が瞬間的にはじかれ、静電気の発生も抑えられるのでホコリがつきにくくなります。さらに、そのウールで紡がれた糸を一本一本しっかりと手で結ぶことでラグの密度も高くなり、虫のエサとなるゴミ(食べかすや髪の毛など)が入り込まず繊維に絡まりにくくなるのです。

ダニの心配

湿度の高い場所を好んで身を潜めるダニなどの虫からラグを守るためには、通気性を上げて湿気をこもらせないことがポイントです。ウールには調湿作用がありますが、例えばラグの裏面から縫い目が出ないように接着をして裏布で塞いでしまう機械織り(タフテッドなど)の場合はそれを妨げてしまいます。手織りラグはしっかりと一本一本の糸が結ばれていて裏返して見たときの織り目も美しく、キリムなどはリバーシブルでご使用いただける物も珍しくありません。そして、裏面の補強がなくてもアンティークラグの存在がその耐久性の高さを証明しています。吸湿と放湿を上手に繰り返すウールはまさに“呼吸する天然繊維”。その特性を手織りで活かすことで、寒さを感じる冬だけではなくジメジメと蒸し暑い夏でも肌に触れた瞬間その使い心地の良さを実感していただけます。

サスティナブルなアイテム

手間暇をかけることで素材本来のポテンシャルを活かしたラグは使えば使うほどに風合いの良さが増し、耐久性の高さから 100 年以上前に制作されたものがアンティークラグとして現存しその価値を認められています。そして人の手から生まれたラグは、また人の手によってほつれや破れなどが起きた箇所を紡いで補修することができます。きっと機械で大量生産されたラグでは気付くことのできない作り手の存在。その姿や物語を感じながら、本当に良いものを永く愛着を持って使う。アラネックセレクトのラグを日常の中でお使いいただくことが過剰な資源利用の抑制や地球環境を守る、サスティナブルな考え方につながります。

alanek selection

伝統的な技法を尊重しながら、現代のインテリアとも相性の良いモダンで遊び心のあるラグをトルコ・イランより仕入れております。柄や色の一つひとつには、家族への思いや暮らしの豊かさを願う気持ちが反映されています。手紡ぎ・草木染め・手織りから生まれる“アブラッシュ”と呼ばれる独特の風合いは、永く使うほどに魅力を増します。機械化されていないからこそ味わうことのできる経年変化をお楽しみください。

キリムとは、トルコ・アナトリア高原から中央アジアの広い地域に住んでいるチュルク族や遊牧民たちが織る毛足のない平織りの織物のことをいいます。敷物に限らず羊毛の平織りのもの全ての総称で、 羊や山羊などを連れていた遊牧民たちが、身近なウールを使って色やデザインなどを創意工夫しながら織り上げたキリムは、見るほど使い込むほどに魅力を増します。輸出用に製作した「ニューキリム」や家庭で古くから愛用されていた「オールドキリム」、100年以上前に織られた「アンティークキリム」などそのバリュエーションはさまざまで、名もなき遊牧民のオリジナリティーあふれる、芸術作品として注目を集めています。

広大な地を移動するイランの遊牧民が織るギャッベには、毎日の暮らしの中で目にした風景や家族への思いが反映されています。経糸を張り、緯糸を結ぶ。一見すると途方もない作業を丁寧に繰り返すことで、ようやく一枚のギャッベが完成するのです。日本でも身近に感じられるようになったギャッベですが実は種類が豊富で、織り手である部族の違いでアメレ・カシュクリ・ルリバフなどに分類されその織りの細かさも変わります。ざっくりと織られたもの・緻密に織られたもの、そこに優劣はなく同じギャッベでも異なる表情に驚きます。見た目の美しさはもちろん、長い毛足に肌が触れたときに感じる心地良さはギャッベならではものです。

トルコ語で“長い”という意味を持つ「ツル」、その名の通り毛足が長く動物に触れているかのように感じるラグです。ツルはトルコの遊牧民の手によって生まれました。キリムやギャッベと異なり、羊とヤギの毛を混ぜて織り上げていきます。テントでの生活を送る遊牧民は、体が痛くならないようにとベッド代わりにふわふわとしたツルを敷いていました。また、大きなサイズでも比較的軽くて持ち運びがしやすいというのも、たびたび移動を繰り返す遊牧民にとっては嬉しいポイント。今でこそモダンに感じるシンプルなデザインは、華美にとらわれない遊牧民ならではの感性が生きています。

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